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【感想】LUCKY かっけぇ爺さんのかっけぇ悟り

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2018/03/21 渋谷アップリンク鑑賞

あらすじ

アメリカの片田舎でひとり生きている年寄り爺さんのラッキー。毎日起きて牛乳飲んでコーヒー淹れてヨガやって行きつけの喫茶店行って、帰ってクイズショウ観て行きつけの飲み屋行って帰る。街全体が友人ではあるけど、ひとり力強く生きている芯を持ったじじぃ。

ある日ルーチンをこなしてたらふらっと来て倒れちゃう。原因は病気とかではなくただひたすらの加齢。初めて自分にも肉体終わりがくることを実感する。

果たして自分はひとりなのか。それともひとりで死ぬのは孤独ではないのか。死を向き合って理解する人生の終わりとは。そんな映画です。

 

感想

堅物で本音が分からない爺さんが人生を悟る姿

主人公のラッキー。こいつがひとり飄々と生きてるんだけど、行く先々で顔見り知りばかりだから劇中の口数は少なくない。でも皮肉や口の悪いジョークばかりで本音を全く語らない。素直に心中を吐露するシーンはほんの少し。

なんだけど、映画だからひとりのシーンもそのまま見られるわけで、観客は無言のじじぃから人生観の変化を感じ取ることが出来る。ここが上手い映画。

同じルーチンが繰り返されるんだけど、同じ繰り返しではない描き方や演出も映画的。カメラアングルや音楽、座り位置や小道具の使い方で、やってることや場所は一緒でも変化を感じちゃう。

主人公を演じたハリーディーンスタントンは有名な俳優らしく、しかもこの映画の撮影後死去。よぼよぼだけど強い芯と積み重ねた過去を、言葉や映像ではなく姿で感じさせる生き姿は素晴らしかった。この映画この役どころが遺作って映画俳優として満点でしょ

 

主人公を取り囲む友人の人物像も良い

主人公はひとりだけど孤独ではない。そうより一層感じさせるのは、取り囲む人々の人間的な素晴らしさも大きい。

絵に描いたような聖人君子ではないけど、それぞれが人生を重ね自分らしく生きてきた味のある人間。最愛の人を見つけ、その人を愛することで自分の弱さを受け入れられたあいつ。リクガメと同居し人生を捧げることで、人生を自分のものにできたあいつ。

それ以外にも喫茶店の優しいマスターや、たまたま会った退役海兵隊の軍人。ウエイトレスや弁護士。

それぞれとがっつり関わるわけではないんだけど、小さな会話から人間らしさの交流が感じられて心地良いし、その結果ラッキーという人間は終わりとの向かい合い方をどう悟るのか

全体として飾ってないからこそ人間味をそのまま感じて、すごく嫌味のない道徳の勉強した感じ。全く押し付けがましくない。そう考えると1本の映画として観る価値あります。

 

まとめ

久しぶりに映画を観て感想書くから、消費カロリーの無さそうな映画を選んだけど正解です。
お粥みたいな飲み込みやすさだけど、体内で消化するときに身体にめっちゃいい影響を与えてくれるような。
副作用の無い、けれども人間として日々社会で生きてる人にはエネルギー出る良作でした。

 

社会人になって喫煙者になった僕ですが、ずっとアメスピのオレンジを吸ってるのでなおさら喫煙シーンが美味そうで美味そうで。喫煙者にとってはさらに良作ですよ。

 

誕生日に、降雪の中家からひとり飛び出したことは正解でしたね。

 

採点 70点