【ネタバレ感想】ファースト・マン 再現性だけカンストしても面白くない
2019/02/10 新宿バルト9
あのデイミアンチャゼルの最新作ということで有無を言わさず観に行きました。めっちゃ期待大。
あらすじ
人類の夢「月面着陸」に挑戦したNASAと成功させたニールアームストロングの物語。
ソ連との宇宙開発競争において遅れをとっているアメリカは、月に行くアポロ計画と、そのための宇宙空間ドッキングのジェミニ計画を立ち上げる。
そのパイロット試験に合格したニールアームストロングであったが、その計画は想像を絶する過酷なものであった。
感想
いろんな意味で退屈です。
映画の大きな要素として「体験」がある。今作は「感動、興奮、染みる、味わい深い、面白い、謎解き、予想外」って映画の面白さはありません。
テクノロジーが追いついていない時代の宇宙への挑戦っぷりを五感で感じられます。方法としては轟音で。
もういつ壊れてもおかしくない、っていうかスクリーンが崩壊するんじゃないかっていう音響で極限状況に巻き込まれる。
あともう一つ。宇宙に対する人間の小ささも音響で感じられる。ミッションの危険性が伝わる爆音に飲まれて声も出せないシーンからの圧倒的静寂。この繰り返しが映画のメイン。
特にラストに近づくにつれ、絶対音を立ててはいけません。今作の良さがぎゅっと詰まった静寂です。映画芸術のパワーを全身で感じてください。
今回となりの席が父親と小さい子供二人だったんですが、子供が父親に話しかけちゃう年齢で、パパと途中退出してました。他の映画ならまだしも今作では、その判断が正しいと思います。まぁ声出しちゃうぐらい退屈な内容ってのもありますが…
史実って素材のままでいいん?
上記で言った通り「体験」はすごい。これが映画のパワーや!ってこと。しかしそれ以外の面白味手抜きすぎない?史実ってことならこんなに手を抜いてもいいの?
宇宙への挑戦と宇宙空間の静けさって、実物の再現演出を極限まで巧くしたってこと。実物のパワーを映画にどう落とし込むかに満点回答。その凄みあります。
しかし、その他の日常とか、劇中の平場がつまんなすぎるわ。
いろんな場面をすーっと繋げて全然盛り上げない。全く時間をかけない。いろんな人に触れず掘り下げず、ただ機械的にイベントを写し、機械的に次へ進めるだけ。退屈でしょ。
主人公は誰とも信頼関係を積み上げない。なので観客も主人公を信頼出来ない。ずっと裏がありそうな感じ。人間味がない。役どころとして機械的。
そんな主人公が最初と最後のみ娘関連で感情を行動に出すとはグッとくるのは分かりますが、2時間半でそれだけだとね。
寡黙で感情を表に出さないアームストロング像にぴったりなライアン・ゴズリングは相変わらず。ぴったりなので文句は言わないけど、僕はこういう演技好きじゃないです。
まとめ
IMAX以降の宇宙映画では『ゼログラビティ』『インターステラー』が二大巨頭だと思います。今作もこれに並ぶかなと期待しましたが、エンターテイメント性で遠く及ばず。はっきり言うと面白さがないです。
映画って再現性だけ満点出してもこんな感じなんだなぁって思い知らせれました。
劇場でまたインターステラー観たいなぁ
採点 50点