メエメエ博士の映画レビューブログ

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【ネタバレ感想】シェイプ・オブ・ウォーター 僕も最上の愛見出したい

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2018/12/29 渋谷アップリンク 見逃し企画

あらすじ

幼い頃の虐待で声が出せない主人公イライザ。今は政府の極秘施設で深夜清掃員をしながら一人暮らし。隣人の売れない画家ジャイルズと、同僚と黒人ゼルダと関わりながら小さく暮らしていた。
ある日極秘施設に実験体の魚人が搬送される。施設から酷い扱いを受けていた。イライザは清掃に入った際にたまたま接触し、言葉を話せない者同士こころを通わせていく。

しかしその後解剖されることを知ったイライザは、阻止するため魚人を脱出させようとする。

感想

僕のばかやろう

半年ぐらい前にこのブログにも書いた映画好きの方に勧められたのに「相手が人間じゃなくても恋愛もの観たくねぇよ」と反射的に拒絶してた今作。

ばかやろう!メエメエのばーか!
こんな特徴的で美しくて素晴らしい作品をスルーしてたなんて。

アップリンクが見逃した映画特集やってくれなきゃ観てなかったよ。 DVDじゃ手に取らんだろうし、味わえてなかった。危ない。

よくこの映画に対して「こんな作品二度と出てこない」って言葉が出てくるけど、本当そう!良い意味で万人にとって本当にそうだわ。

みんな辛い、みんな愛欲しい

観る前は、魚人とパッとしない女性のラブロマンスって設定が突飛なだけでそれ以上の上積みないのかと思ってた。

後半になってくると魚人って設定がそこまで異質じゃ無くなってくる。主人公側の登場人物みんなが同じように虐げられた弱者で、魚人も一見突飛なだけで弱者って共通点を表に出したに過ぎないから。

となりの画家も、ロシアのスパイも、同僚の清掃係も人生に閉塞感を感じている。志を持っていても現状は自分の思い描く成功とは離れたとこにいる。

主人公は人生の目的があるわけでもなく、日々をひらすら生きているが満たされてはいない。でもこれが人生だと同じ日常をコピーしながら時間を進めている。境遇を考えるとここまでも虐げられてきただろう。

そこに降りてきた別生物。姿形は違う。違うからこそ分かり合えたと画家に必死で伝えるシーンから泣いてたよ。そして弱者同士だから、その重みを感じちゃってどうしても無視できない。

多数の弱者の人生が、ようやく見つけた最上の愛のために収斂している様子は、まったく映画をダラけさせない。

普遍的で最上の愛の形ってこれ

見た目のインパクトがあるだけで、とてつもなく普遍的な愛の姿を見せてくれるのよ。だからこれは誰もが共感できる、夢中になれる恋愛ものなんです。

周りはカップルばかりだったけど、一人映画を観ているあなた(私)もいわば半魚人で、現状世の中とうまく調和せず隔離されているようなものかもしれない。

カップルのあいつもこんな最上の愛の形と比べたら、となりのこいつとはうまく行ってるとは言い切れない弱者かもしれない。もしかしたらね…

どんな人も求めている生命と生命の繋がりの形を、目の前の魚人と主人公が奇跡的に育んでいく。それも素晴らしい演出のもと

これが1800円?安すぎ

良い映画を観たときに必ず思って、毎回書いている気がするけど「映画ってすごい!」
魚人と主人公の心のやりとりをみて、我々が本能で求めている普遍的な愛を観客は心で感じられる。
愛を見るたびに涙が止まらなかったです。おそらくあのスクリーンで一番の涙量出してた。

あとこの監督だからやっぱりさすがの画面でした。もうね、美しい!!としか言いようがない。美しかった。中盤の水、というか愛に満たされた画面が美しすぎる。こんな愛を人生で一度体感したい。

まとめ

目の前の人間とこころを通わせ、この愛を育もう。彼女居ないけどそんな現状は関係ない。置かれた立場ではなく、今この瞬間から丁寧に。

愛したい愛されたい。隣でこの映画観てたカップル達は今日パートナーを深く愛せるだろうなぁ

今年ベストを決めるにあたって観なかったことを後悔してたから観ましたけど、間違いなかったね。ランキングに必ず入ってくる。

採点 90点