メエメエ博士の映画レビューブログ

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【感想】KAZUYA世界一売れないミュージシャン 惨めじゃない生き方とは

明けましておめでとうございやす。本年もなにとぞよろしくお願いします!今年は劇場で映画100本観たい。そのために映画欲を途切れさせないよう頑張りたいと思います。

どうぞお付き合いいただけると幸いです。

元日はアマプラで見つけたこの作品。

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2019/01/01 アマゾンプライムビデオ

あらすじ

札幌を拠点に活動するシンガーソングライターKAZUYA。1990年代バンドとして一瞬売れかけたが解散。その後ソロ活動を続け51歳。全く売れていない。そんな状況でもなお好きなことを続ける男についてのドキュメンタリー。

This isドキュメンタリー

これこそがドキュメンタリー。想定を大幅に下回る売れなさに驚くスタッフと、ずっと直面してきたからか「こんなもんよ」って平然を装う主人公。この対比は観客と主人公とも言えるし、この映画の面白さ。対象の面白さ120パーセントで映画を作る。何も足さず何も引かず。

もうね全部映してくれる。客の入らないライブ。大事なライブ前日に飲みすぎちゃうバカさ加減。アルバムの曲決めでモメにモメる雰囲気。主人公の作詞能力へのはっきりしたダメ出し。アルバムの売り上げ枚数一桁まで。あらすじ聞いて観たいもの全部入り。これこそがノンフィクション。

驚くほど売れないし、引くほど人が入らない。なんだけど現実に全く萎えてないし、そこまでマイナスとも感じてないような主人公KAZUYAの人物像がまるでフィクションみたい。

人生賭けたものが目に見えた形では全く評価されず、それでもやり続けるしかない。それってマジで辛いし、人生なんだったんだって閉塞感に包まれる。KAZUYAだって人間だもの悩んだでしょう。
でもドキュメンタリーとして密着している中で全くその様子が見えない。ってことはこれまでに萎えを乗り越えたのか、または少年のぽさを心底失ってないのか。

こんな人が居るっていう事実が面白いし、好きをやり続ける人生の現実をそのまま観られるのは映画として面白い。

これだけやってるけど本人は「もうやり続けるしかない、上がり目は無いけど。」って感じで達観してる。でもこれが人生だからとやりつづける。その姿勢を観て欲しい。

印象的なシーンが2つ

1つが、KAZUYA新アルバムに参加した作詞家の発言。

久しぶりに作詞をした感想を聞かれ「やっぱり作詞が天職」と答えた。それがとても美しくて、清々しくて、主人公も同じなんだろうなって。

シンガーって天職を見つけてやらざるを得ない。これは宿命だし、続けることが最上の快楽なんだろなぁって思った。天職見つけるってこういうことなのかね。

もう1つが後半の地方ツアーについて振り返っているシーン。

客の入らなさをスタッフと思わず笑いながら話してるときに「惨め」って言葉がチョイスされてた。

映画全体で主人公から一番離れたところにある言葉が「惨め」だと思ってた。仮に僕が主人公の立場なら、惨めだやめようって思い続けるだろうなぁって観ていたから驚いた。

やっぱり好きなことをやり続けるには、当たり前に思うことも乗り越えて慣れて鈍化して、続けられるメンタリティに変化しないとダメなんだなぁって思いました。

タイトルも正しい

中盤で初めて導入した作詞家に「タイトルをちゃんと作れ!メロディに沿ったものにしろ!後からテキトーに考えてるでしょ!」ってダメ出しされてた。

今作はその反省を活かしたのか、後半のスタッフがぽろっと言った「世界一売れないミュージシャン」ってタイトルになってる。

そしてこれ以上なく的を得た表現。あの作詞家通り、タイトルから映画に入って良い意味で裏切られずにみたいものみせてもらった。正しいなぁ作詞家。

まとめ

うーんこれは当たりですよ。なんせKAZUYAさんが愛くるしい。この人の愛くるしさを感じられるんだからドキュメンタリーとして合格点をゆうに超えているでしょ。

アマプラで下情報なしにギャンブル鑑賞したけど当たりだわ。

採点 72点