【ネタバレ感想】1917命をかけた伝令 あなたも併走し続ける
2020.02.16 川崎チネチッタ LIVE ZOUNDにて鑑賞
アカデミー賞撮影賞、録音賞、視覚効果賞受賞の鑑賞必見作品を、初めてのLIVEZOUND +RGB4Kレーザーにて鑑賞。
作品情報
- 公開日 2020年2月14日
- 上映時間 114分
- 監督 サムメンデス
- 主要キャスト ジョージマッケイ
- 予告編
- 公式サイト
あらすじ
時は1917年の第一次世界大戦真っ只中。塹壕戦の長く険しい戦いが続いていた。
主人公スコフィールドとブレイクは、とある特殊任務を命じられる。それはドイツ軍への突撃作戦を行う予定の1600人に、作戦中止を伝えること。
突撃作戦は明日の朝行われる。もし中止できなければ、ドイツ軍の罠にかかり1600人は命を落とすことになる。
その1600人の中には、ブレイクの兄も含まれており、何がなんでも中止命令を己の足で届けなければならない。
二人の長く過酷な1日が始まる。
登場人物
スコフィールド上等兵 -ジョージマッケイ ブレイクと共に作戦中止のため走る。奥さんがいる。有刺鉄線に弱い。心優しい。
ブレイク上等兵 -ディーンチャールズチャップマン 兄が参加している作戦の中止のために走る。地図に強い。心優しい。
感想
任務の過酷さと、長く短い24時間を追体験
戦場は怖い。怖すぎる。塹壕から飛び出す恐怖。いきなり打たれる恐怖。こういうゲームは山ほどあるのに、映画って他の表現を超えてくる。
開けた土地の怖さ。死体が転がってくる戦場という特異さ。爆発やトラップ、もう一歩も動けない。そんな臨場感で、僕は座席で微動だにできません。
そんななか進め!走れ!とやらされる過酷さ。主人公たち二人はもちろんだけど、他の名もない兵士もお国のためあの戦場に飛び出さざるを得ないって、戦争はやはり無理です。
1カットのせいで、観客もずっと戦場に居させられる。スクリーンのこっち側に戻ってこられない。休憩ゼロ。
そりゃあ自分の兄が生きるか死ぬか、自分の24時間完走に懸かってるとしたら、休みなしなんだけども。そんな状況に椅子に座りながら追い込まれます。これが映画か…映画の力か… という感じで感服しました。
裏切られてもただ信じ走る姿こそ胸打たれる。
今作何度も裏切られる。裏切られるというか、人々の上に立つ戦争の倫理観に、個人のモラルが勝てない。その結果、悲しい犠牲が生まれてしまう。
それでもなお、何としてでも主人公は走り続けないといけないし、この伝令で目の前の犠牲を止められると信じ続ける。
そんな主人公の執念が120%の形で現れる、後半ノンストップのダッシュには涙溢れました。ただひたすらに走る。俳優の全力ダッシュこそが感動しちゃう。そんな110分でした。
そしてクライマックス。ベネディクトカンバーバッチずるいわ役が。カッコよろしいやん!!伝令受け取って読んでからのあの間がね。
エンディングまでも素晴らしかった。最後の最後で報われる。戦場のリアルと倫理を肌で感じて、我々もヘトヘトになってるなかで初めて触れる人間性。これは刺さる〜〜。素晴らしい着地点。傑作を言わざるを得ないよね。
まとめ
9割9分の苦しさと、その先。戦場のリアルと戦争の倫理観。観客は110分巻き込まれて体力を消耗し、夕食は軽めでいいかも。でもこんな体験ほかの媒体じゃ無理。映画ってすごいなぁ。
採点 82点